食物繊維|栄養素

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食物繊維とは

食物繊維とは、摂取しても胃や腸で、消化吸収されない栄養素の総称をいいます。食べ物から摂っても、そのまま便と一緒に排出されるので、体の材料やエネルギー源になることはありません。

このため、食物繊維をビタミンのように、栄養素と呼ぶのは疑問があるということで、数十年前までは栄養素として扱われていませんでした。

しかし、1970年代初めにイギリスの医師によって、食物繊維を十分に摂ると、大腸がんの発生率が低くなることが発見され、注目されるようになりました。

その後、研究が進み食物繊維のいろいろな働きが発見され、たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素に加え、六大栄養素と呼ばれることもあります。

*食物繊維は、糖質の中の「でんぷん」と同じ仲間ですが、ほとんど消化吸収されないので、糖質とは区分されています。

ちなみに、糖質=炭水化物と思われていますが、正確には、
糖質+食物繊維=炭水化物が正しい区分になります。

働き・作用

食物繊維の働きには、いろいろありますが、代表的なものは、次のようになっています。

便秘予防・解消

食物繊維でまず連想するのは、便秘の予防や解消ではないでしょうか?

食物繊維は、私達の腸に住む腸内細菌(善玉菌)のエサになり、細菌の働きを活発にして、整腸作用を高めます。

善玉菌には、乳酸菌やその仲間であるビフィズス菌などがあり、体に有害な物質を作る、悪玉菌を減らす働きがあります。

また、食物繊維は水分を適度に保つので、便の適度な量と柔らかさを与えるので、スムーズな排便が可能になります。
*参考→便秘|栄養・ビタミン

大腸がんの予防

食物繊維によって、排便がスムーズになるので、がん発病の有害物質が早く排出され、がんになるリスクが少なくなります。

また、これ以外の農薬や食品添加物などの有害物質も、食物繊維が吸収して排出することも知られています。

コレステロールや塩分の排出

食物繊維は、胆汁酸という物質を吸収して、排出する働きがあります。この胆汁酸は、肝臓でコレステロールの原料になる物質で、これが減ることによって、コレステロールそのものが少なくなります。

これによって、血管の機能が高まり、動脈硬化や、脳こうそく、心筋こうそくの予防になります。

また、余分な塩分(ナトリウム)も排出する働きがあるので、高脂血症の予防につながります。
*参考→動脈硬化|栄養・ビタミン  高脂血症|栄養・ビタミン

糖尿病の予防

食物繊維は消化吸収されないため、一緒に摂った食べ物と混ざって、腸まで運ばれるので、他の栄養素がゆっくり腸から吸収されるようになります。

もし食物繊維が少ないと、食べ物が早く消化吸収され、その分、血液中の血糖値が急激に上がることになります。

これが長く続くと糖尿病の原因になりますが、食物繊維を一緒に摂ることによって、血糖値の上昇がゆるやかになり、その結果、糖尿病の予防になります。
*参考→糖尿病|栄養・ビタミン






◇栄養素の基礎知識 コンテンツ一覧
三大栄養素とは   ・五大栄養素とは   ・たんぱく質|栄養素
たんぱく質の消化と代謝   ・たんぱく質が多い食品と摂り方
糖質(炭水化物)|栄養素   ・糖質の消化と代謝   ・糖質が多い食品と摂り方
脂質|栄養素   ・脂質が多い食品と摂り方   ・ミネラル|栄養素
・食物繊維|栄養素   ・食物繊維の種類   ・食物繊維が多い食品と摂り方